不動産売却時の瑕疵担保責任について

01 瑕疵担保責任とは何か?

売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合には、買主が、売主に対して、契約の解除や損害賠償の請求ができます。これが、民法に定められた「瑕疵担保責任」の規定です。

「瑕疵」とは「欠陥、キズ」とほぼ同じ意味であり、一般的に備わっていて当然の機能が備わっていないことや、あるべき品質や性能が欠如していることをいいます。例えば、戸建住宅の売却時に売主が「瑕疵担保責任」を負うケースとしては、雨漏りがあったり、白アリの被害が発覚したり、水道管から水漏れがあったりなどの「瑕疵」があります。ここで留意しなければならないのは、「隠れた瑕疵」ということです。分かっていながら、それを隠して売却すると別の責任を追及されます。

02 瑕疵担保責任は必ず負わなければならないか?

売主が宅建業者でない場合は、「瑕疵担保責任」を負わない特約も有効です。すなわち、買主と売主の合意によって瑕疵担保責任を負う・負わない、を定めることができます。
それなら、売主側は「負わない」とできれば、とても有利になります。しかし、買主側の立場で考えれば、何千万円ものお金を払い、手に入れる不動産です。簡単にそれを認める訳がありません。そこで、取引の現場でよく用いられる2つの方法を紹介します。

一つは、瑕疵担保責任を物件価格に反映させる方法です。具体的には、売主が瑕疵担保責任を負う契約は、売買価格を少し高く設定します。反対に負わない契約は、売買価格を少し値引きするのです。こうすることで、お互いの妥協点を探ることができます。

もう一つの方法は、極めて短期の間のみ瑕疵担保を負うというものです。年数の経っている建物は、老朽化による不具合が発生しがちです。しかし買主にとっては、物件を引き渡して数ヶ月でそういった不具合が出てきても困ってしまいます。売主と買主が、「物件の不具合をチェックする期間を設定する」として短期間だけ瑕疵担保を負うという特約が現場ではよく利用されます。

03 瑕疵担保責任を「負わない」と「定めない」とは意味合いが全く違うことに注意!

さて、もう一つ瑕疵担保責任について注意したいのは、瑕疵担保責任を「負わない」と「定めない」とは意味合いが全く違うことです。
契約の特約に「瑕疵担保責任を負わない」と明確に記せば、その効果が得られますが、全く瑕疵担保責任について負うも負わないも定めなければ、自動的に「負う」ということになってしまいます。この場合、何が問題になるかというと、責任を負う期間です。瑕疵担保責任に基づく請求期間は、原則「物件の引き渡し後10年以内」とされています。もし仮に、物件を引き渡してから買主が瑕疵の存在を知った時が、引き渡しより10年以内であれば、損害の請求をされるといったケースも考えられます。

よって、瑕疵担保責任の件が、契約時に話題に上がらず、売主が黙ったままだと、自動的に瑕疵担保責任を負うことになり、いつ発覚するか分からない責任に怯えることになってしまいます。物件を売却する際には、瑕疵に対する何かしらの手を、打つ必要があるのです。

住宅売買契約時の不備で、後々、大きなトラブルに発展しないように、しっかりこの瑕疵担保責任について理解しておきたいものです。

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